Monday 24 March 2008

戦うキャプテン


フットボールを愛する人間がこの町にはあまりいません。理由としていくつか考えられますが、チームが無い事。豪雪地帯である事。そしてテレビ中継が観れない事などが思いつきます。

チームがないというのは、ロシアンプレミアシップリーグに参加しているチームがないという意味です。地元にはバルカンFKというチームがありますが、このチームはプロではなく、年に1回か2回しか公式戦は行われません。なのでファンが付くわけもなありません。
プレミアシップに参加できないのは経済的・地理的に殆ど不可能という事です。モスクワまでの距離と時差を考えると内陸部の数十倍の予算が必要でしょう。2000人収容のスパルタークスタジアムというのも一応ありますが、ここが満員になっても収入などは大した助けにならないでしょうし、大規模なスタジアムを建設したところで損害の方が大きいでしょう。

豪雪地帯という事で、スポーツといえばなんといってもスノーボードが盛んです。町のなかのちょっとした丘でたくさんのボーダーが日々練習に励んでいます。ロシア国内からもたくさんのプロボーダー達が集まって来ています。無料でいつでも好きな時にスノーボードが楽しめる環境というのは、都会ではちょっと考えられない事であり、よくわからないですが雪の質も良いようです。イメージとしては、スケボー感覚でスノーボードをやっているという感じです。そして夏にはスケートボーダーがかなり多く、しかも皆、巧い。驚く程に。小学生くらいの子供でもかなりのレベルで、今までスケートカルチャーの根付く町に何度か滞在した経験から見てもレベルは高いと思います。なのでフットボールに興味がいくという感覚ではないのでしょう。

テレビ中継が観られないというのは、正確には観られるのですが、何しろ時差が中心部より9時間もあるので、日曜午後のリーグ戦の試合は夜中の1時から始まるという具合です。広い国土なのでその辺を考慮して土曜日を中心に試合を行うなどしてくれればまだ良いのですが、基本的には日曜の16時周辺のキックオフであるためにこの時間帯になってしまいます。なので好きになるチームが自然とできない仕組みです。ケーブルTVに加入して近所のルチ・エネルギア/ウラジオストックの試合を観戦するという事さえできません。これができれば時差は僅かに2時間なので何とか楽しめるのですが。

なのでフットボールファンは頑張って夜中にゼニトの試合をみています。ゼニトは昨年のチャンピオンチームで、皆さん大好きなガスプロムがスポンサーであるためにその金満ぶりを発揮して有名選手を金で集めたり、TVの放送も殆どがこのチーム中心です。まあそれがフットボールなのでそういうクラブがあるのは良い事だと思いますが。因に我々浦和レッズは独立採算制を採用していて、大規模な親会社が資金注入!というスタイルではないです。

昨年よりゼニトに加入しているアナトリー・ティモシュック(写真)は、ドネツクより移籍金23億円で獲得しています。こんなに払うのならもっと良い選手がいるだろうと思いますが、よくわかりません。しかしこのティモシュックはかなりいい選手です。闘志剥き出しでチームの中心部に位置しています。中央から攻めるならばセンターラインから彼を越える事が中々できません。試合中も大声で指示をだしている感じで、理想のキャプテン像です。今のレッズにはこのような選手が必要だなあと観ていて思います。
昨日の試合もFKモスクワ相手に殆どゲームを支配し、2−0の勝利で試合を終えていましたが、チャンピオンチームの戦いを観た気がします。

豊富な資金源を背景に力を付けたチームといえば誰もがイングランドプレミアのチェルシーを連想しますが、資金源のアブラモビッチ先生はカムチャツカにほど近いチュコチ出身。チュコチの小学生をアエロフロートで試合に招待したりして良い顔しているようですが、そんな事しないで極東ロシアに強豪チームを一つ作ってくれればいいのにと思います。
金があってもやらないという事は、メリットが無いということでしょうが。

世界は金であり、フットボールもまたビジネスであります。市場万歳!

この町の発展のために、まずはフットボールチームを。世界中の良い町を一つでも思い浮かべてみてもらうと、必ずそこにはフットボールチームがあるはずです。

No comments: