Wednesday 30 April 2008

雪解け



EU諸国からの観光客と話す機会が先日あり、町の感想などを伺ったところ、「汚い」と言われました。
僕もそう思います。この町で道を歩くのはゴミの上を歩いているようなものです。

最近はようやく雪が溶けて路面が現れたのですが、その路面がもう雪解け水とゴミと泥と糞尿で核戦争後の近未来のようになっています(写真1)。
舗装されている道路も舗装の仕方が不十分のために穴が空いたり壊れたりしています(写真2)。そして排水溝を作っていないために、雪解け水が氾濫するという事態を招いているようです。この水を無くすには、土が水分を吸ってそこを太陽が照らして乾燥させるという段階が必要になって来ます。

ゴミの問題も大変なものです。ゴミ箱が多数設置されていないので、ゴミ箱にゴミを捨てるという感覚があまり普及していないようで、その場に放り投げる事(ポイ捨て!)も特段問題視されていません。
勿論家庭ゴミを捨てるゴミ捨て場はあります。ゴミの日というのは特になく、分別も必要ないのでこちらとしては楽です。分別しないゴミを収集車が集めて、それを40kmほど離れたゴミ集積場へと運ぶそうです(未確認)。その後の処理方法については今後確認しようと思っていますが、焼却技術はかなり低いレベルのものだそうです。

また、排水処理もかなり粗悪なもので、町の中心に位置するアヴァチャ湾へ地下からパイプを流し込み、そこから海へ直接排出するという処理方法です。なので湾内の水質汚染が徐々に深刻化してきています。

このような現状を見て、海外からの観光客は(当然ですが)悪い印象をうけるようです。観光業はこの町のメイン産業の一つなので、統一ロシアさんには町の美化に力を入れて欲しい物です。今回当選した議員の先生たちの公約にも町の美化や道路の整備という公約があったそうで、市民もそれを望んでいるという事なのでしょう。道を平に維持できない国に経済発展はないと言いたいです。
廃棄物処理や道路の舗装を強化する事によって町の美化や雇用の拡大、観光業への影響など良い事ばかりです。統一ロシアさんは軍備やガス網など、無駄なものにお金を費やしていないでこういうレベルの投資をする事が後の経済発展に繋がるという点を理解するべきです。

町を歩いていて上を見上げるとフジ山よりも大きな火山が3つも見えて、どのポイントからも海が見渡せる町の景色は本当に素晴らしいものです。この自然を守っていくのが、ここの住民達とロシア連邦の一つの課題でもあると思います。

Sunday 27 April 2008

Louis Vuitton vs Darfur


Louis Vuitton is suing a charity initiative supporting Darfur!

Louis Vuitton demands $ 24030.76 in daily fines if the Darfur supporting project do not stop the sale of their t-shirts with a poor black boy with baloon stomack and a designers bag and a Paris Hilton dog under his arm.

They claim the drawing is too close to their design, and will thereby shot down this non-profit initiative to support the poor people in Darfur.

What happened to the Freedom of Speach? And what happened to humanity??

The drawing tells everything about how low the world has come... And the act of Louis Vuitton tells everything about Louis Vuitton.

参照サイト↓
http://www.nadiaplesner.com/

デンマーク人アーティストのナディア・プレスナーさんをルイヴィトンが訴えています。
ダルフールへのチャリティとして売り出したTシャツ(写真1)の販売を停止してくださいとの事です。ルイヴィトンのイメージダウンに繋がるという事か著作権を気にしているのか。。。

しかしこの行為によってルイヴィトンは余計にイメージダウンしましたね。
市場原理主義の齎した考え方の一つという事です。

因にカムチャツカでは、ボードショップの宣伝用ステッカーなどでスポンジボブやシンプソンズのキャラクターなどが登場していますが、著作権を無視して制作しているみたいです。
ロシアで僕が大好きなMP3コレクションというCDも著作権は完全に無視していますね。そういう意味では僕も国際的には犯罪者。でもロシアでは大丈夫です。昨日もCREAMの音源をコンプリートしました。

作品の制作と著作権、そこに言論の自由や政治が絡んだら問題は大きくなるばかりですね。これを解決するのがモラルという言葉なのかもしれません。

Wednesday 23 April 2008

N.P.F.O!!


在留邦人の安全をまもるために、世界各国で日本総領事館は安全情報を提供してくれます。この情報は外務省のHPでも閲覧できます。
4月20日及び30日はネオナチの崇拝するアドルフ・ヒトラーの誕生日及び命日であり、この前後は外国人敗訴活動が激化する可能性があるので充分注意してくださいという内容の注意喚起がされました。

ロシアでスキンヘッドが台頭している事は有名ですが、この町にも多数見かけます。アジア人は少ないものの、コーカサス系の移民は多いため、その人達を標的にしているようです。まあスキンヘッドでない人達もこのような人種を平気で差別している感はあるのですが。

この「安全上のお知らせ」の特に留意する点というコーナーで目を惹いたのが2点です。

1:特定サッカーチームのレプリカユニフォーム等の着用は状況により極右団体やフーリガンの注意を惹く場合があります。
2:サッカーチームのサポーターやロックコンサート帰りの若者集団や政治集会の現場には絶対に近づかない事。

1に関しては、どのチームのユニフォームを着用したら極右団体の注意を惹くのか知りたいものですが、浦和レッズのユニフォームだったらどうなのかという点のみ気になります。日本車大好きなロシア国民にはmistubishi motors と書いてあるので喜ばれそうですが。しかし赤いから「このコミュニストめ!」と言われてしまうかもしれません。

2に関しては、サポとロックファンと政治活動家を同列で考えているという点が面白いと思いました。この3種類の人種は民族主義を掲げている例よりもむしろその逆の場合が多いと思いますが、実際はどうなのでしょうか。音楽とスキンヘッドの関係性も様々ですが、特にパンクロックの持つアナーキズムとスキンヘッドの民族主義をよく分析もせずに同類として考えられてしまうのは悲しい限りです。一致する場合も勿論あるのですが、そうでない場合の方が多いです。

しかしやってる側にも問題はあります。例えばバスの中の落書きなどで、punks not dead の隣に、同じ人が書いたであろう文字でwhite power なんて書いてあったりします。よっぽどコアにパンクロックを聴いてないとパンクからはそこの思想には辿り着き難いものなのですが、この町でそこまでコアな音源を入手できるとも思えません。

この注意喚起のとおりにそのような場所には絶対に近づかないようにしようと思います。こうやって民族間の隔たりというのは大きくなっていくものなのだと知りました。

写真はDead Kennedys のNazi Punks Fuck Off!! US版シングル。かっこいいジャケットです。

Monday 14 April 2008

インテルネット復活

インテルネットがついに自由に使えるようになりました。この修理までの過程がとても楽しかったです。

吹雪の後にネット回線が故障し、サーバー会社からは修理をするとの報告を受けていたのですが、当初の1週間以内という約束も先送りにされ続け、6週間が経過しました。これ以上先送りにされては困るのと、自分のロシア語力では埒が明かないためにロシア人に依頼して会社とやり合ってもらう事に。何度も電話をかけたものの、電話の対応も酷いもので、「モデムの使い方を間違えているのでしょう」、「電話線をどこに挿していますか?」、「マックではインテルネットはできません」などの対応を受けて、それはないでしょうとサービスセンターへと出向いて今一度事情を説明。

対応してくれた若い男性は、とても面倒臭そうに話を聞き、「家の電話番号は何番だ」と聞くので伝えると、手元のPCをカタカタと5秒ほどいじり、「もう直った」。

ビックリしました。その後、どういう事だとか色々と聞いても、「もう直ったから早く帰って確かめろ」以外には言わなくなってしまいました。帰宅してチェックするものの当然故障したままでした。すぐに連絡すると、「明日の朝になれば直る」と言われ、当然のようにこれも嘘でした。さらに電話を続けると、「昨日の夜中にあなたのアカウントの料金が無くなりました」。驚きです。使えていないのに料金が無くなるなんて、凄いシステムです。苦情も無視され、サーバーも1社しかないために料金を支払うものの依然として改善されないために更に電話。「回線が壊れているので専門家の派遣が必要です」との説明を受ける。それを最初から言っていたはずなのにと思いながらも早くそれを派遣しろと言い、数日待ってようやくおじさんがうちに「こんにちは」と言ってやって来て、部屋の外にあるアパートの電話回線を修理して完全に修復されました。

これこそが社会主義体制を長年貫いて来た後に急に資本主義へと転向した国の首都から最も遠い町のサービスかと思うと、自分もなかなか良い経験をしているなあと、日々実感しております。

Wednesday 2 April 2008

fitna the movie


最近の報道関係ではNATOサミットと北京オリンピックボイコット関連が大半を占めていますが、各国でもう一つ今大きな話題となっているらしいこのFITNAという映画に関しても報道されていました。
FITNAの詳細に関しては下記の記事等を参照してください。
http://www.varietyjapan.com/news/movie/u3eqp30000038zy2.html

オランダ国内では北京オリンピックボイコット関連と同じくらいの大きさで扱われているそうです。日本のネットメディアでの扱いは若干少ないように感じます。
VESTIというロシアのニュースメディアでも取り上げられていました。しかし扱いはあまり大きくありません。通常のテレビ放送で1度取り上げられていただけでした。
取り上げ方もネットメディア界での話題を提供する3分程度のコーナーで扱われていた感じで、ニュース性をもったものではありませんでした。因にこのコーナーでは以前ネットを通じて革新的な発売方法をとったradioheadの新作なども話題にしていました。

ロシアにおけるイスラム教徒は総人口の2割近くになるそうで、コーカサス地方の民族が中心になっているそうです。
ロシア連邦内で共和国を形成している国が殆どで、ロシアでも大都市の部類に入るカザンもイスラム教を国教とするタタールスタン共和国の首都です。近年のプーチン様のコーカサス政策の一環などもあり、ロシア政府はイスラム勢力に対してかなり警戒しているようです。実際これだけのムスリムがロシア国内に居住しているとなると、ロシアのメディアもこのFITNAに関するニュースをもっと多く配信するべきかとは思いましたし、どこかの町で抗議運動が起ってもおかしくないとは思うのですが、そのようなニュースはここには入って来ていません。

カザンのフットボールチーム、「ルビン」はリーグ発足当時からの古豪だそうで、1stデヴィジョンに落ちた事も殆どないそうです。ロシアンプレミアリーグ16チームの中に、チェチェン共和国のテレクとともにイスラム勢として参戦しています。
ロシア国内では他宗教がうまく共存できていると考えている人が多いのですが、結局独立する事のできない共和国や差別問題、90年代以降の紛争などを見ていると共存とは程遠いものを感じてしまいます。

話を戻してカムチャツカに繋げると、このfitanaという15分の短編映画はコーランを痛烈に批判している内容との事で、3月27日にliveleakというヴィデオニュースサイトに登録され、30日に削除されました。
僕はこの存在を知ってから見たくて見たくて毎日試していたのですが全然繋がらず、気が付いたら削除されていてイライラしましたという話です。一瞬これは政府の陰謀で見せないようにしているのだなどと考えましたが、単純にカムチャツカのサーバーが弱いからです。
しかし15分もの動画を見たとすると、請求される金額は途方もないものになる可能性も高かったので、まあ知らなかった事にすればいいやと思い、こうやって自分も何重かの情報操作の下に生きているのだなあと実感しました。

Tuesday 1 April 2008

コーカサス誘拐事件


ソ連映画の傑作を日本語で紹介します。傑作といってもタルコフスキーや初期のソクーロフのような本当の傑作ではなく、あまり海外流出してない大衆映画を対象とします。

кавкаская пленницаという映画、英語でのタイトルはkidnapping caucassian styleとなっています。海外セールスはアメリカでのビデオセールスのみのようです。
67年モスフィルムの制作で、監督はイワンワシリビッチと同様、レオニードガイダイという人です。

民俗学の調査のためにコーカサス地方を訪れたシュリック(大学院生?)は、綺麗な女子と恋に落ちる。しかしその女子は、彼女の叔父によって地元のギャング組織に身売りされていた。ギャングの手先が女子を捕まえようとするものの何度も失敗するため、困った叔父は女子とデートしているシュリックに近づき、「コーカサス地方の伝統では、自分の好きな女子を誘拐させるものだ」と言い、それを鵜呑みにしたシュリックは誘拐の手助けをする。というアホな内容です。

かなり面白いです。ロシア人の間でも大人気の映画らしいです。コーカサス地方とは、ロシアの西側、黒海とカスピ海の間でイランやトルコと国境を接している地域です。日本人にとってはコーカサス山脈やコーカサスヨーグルトで馴染みがあり、力士の黒海や露鵬もこの地域の出身です。国でいうとグルジアやチェチェン、ダゲスタン、アルメニア、アゼルバイジャンなどの辺りです。なので現在のロシアとは住んでいる人種が全く違い、宗教もイスラム教徒が中心となっています。ソ連時代にはコーカサス地方として一括りに考えられていたようで、同じ国なのに殆どロシア人しかいないここカムチャツカとは住んでいる人種が全然違うというのはちょっと他の国の人間には想像し難い状況かもしれません。また上記の国名を見てもわかる通り、ソ連崩壊後は民族間/対露紛争の絶えない地域でもあります。なので現在ここカムチャツカにおいては多数の人間がこの地域を嫌っている印象を受けます。しかしこの映画を見てもわかるのですが、ソ連時代は比較的普通にロシア人とこの地方の人間が交流していたように思えます。何となくの印象ですが、年配の人達はあまりロシア人以外の人種に対して違和感を感じていない気がします。ソ連時代は巧く共存できていたという事かもしれません。

この映画もその例で、同じ国の中のコーカサス地方の習慣を冗談として扱うと同時に、この地方の美しい部分も表現しています。60年代ソビエトの平和な雰囲気が凄く伝わってくる上質なコメディ映画です。ブレジネフ書記長時代のソ連は、他の国には冷徹な社会主義国家という印象しかなく、丁度それは現在日本人が朝鮮民主主義人民共和国に対して抱いている印象と同じようなものだと思いますが、本当にそのような状況であればこんなに面白い映画はできなかっただろうと思います。作品の検閲は相当に厳しかったと聞きますが、その限られた中での表現が作家の想像力を奪うのではなく逆に大きくしている印象も受けます。

それにしてもこのレオニード・ガイダイという監督はいいです。新しく好きになった監督です。この人の映画にいつもシュリックという名前で主演しているアレクサンドル・デミヤネンコという人も間抜けな感じで良い。ゴダール先生とジャンピエール・レオーのコンビに匹敵するくらい気に入っています。