Thursday 6 March 2008

Иван Васильевич Меняет Профессию



ソ連映画の傑作を日本語で紹介します。傑作といってもタルコフスキーや初期のソクーロフのような本当の傑作ではなく、あまり海外流出してない大衆映画を対象とします。
標記の映画、「ivan vasiliebich changes his profession」→「イワン・ワシリビッチの転職」

1973年、モスフィルムの制作です。監督はレオニード・ガイダイという人です。
73年、モスクワ。ハカセのシュリックは、アパートの一室でタイムマシーンを開発していた。実験が成功しようかというところに、管理人のイワン・ワシリビッチ、泥棒のミロフスキーが入って来て、アクシデントでこの2人は16世紀へと送られてしまう。かわりに16世紀のモスクワからはもう一人のイワン・ワシリビッチ(雷帝イワン)が送られて来る。ハカセが壊れてしまったタイムマシーンを修復している間、16世紀に送られたイワンはその雷帝としての生活を楽しみ、20世紀にやって来たイワンは近代的な生活を楽しむ。

という内容のコメディですが、最高です。まずオープニングがもう最高級にかっこいいです(以下youtubeリンク)。

http://www.youtube.com/watch?v=d5AOgMfVizQ

このオープニングの興奮で最後まで引っ張ってる感じがしました。サイケでクールとは正にこの事でしょう。クールだからサイケなのかサイケだからクールなのかわかりませんが。とにかくソ連映画に多いこのサイケっぷりはたまりません。黒地に白の大きいフォントをつかてるところもカッコいいです。イワン・ワシリビッチは上記の通り、日本では「雷帝イワン」として中学の世界史でも勉強する有名人です。残忍/凶暴な事から「雷帝」といわれたそうです。登場する2人のイワンは1人2役。これもイカしたコメディの基本要素です。

ところでこの「イワン」という名前は、数年前まではトルストイの名作「イワンの馬鹿」のせいでバカにされる対象だったそうです。つまり、イワンという名前の男子は周りからイワンイワンと揶揄されていたそうです。そして時代は変わり、何があったか現在は「ワシリー」という名前がその代わりを担っているそうです。つまり、イワン/ワシリー供にバカといって虐められる対象の名前と言う事です。

英語版のタイトルはなんと「Back to the Future」だそうです。タイムマシーンものということで英語で考えたらこの名前になるのは当然なのかもしれませんが、もしかしたらマーティ・マクフライ主演のback to the futureも、何かヒントを得ているかもしれないですね。映画の雰囲気もビルとテッドの地獄旅行みたいでかっこいいです。

それにしてもソ連の映画は全てエンドロールが無い。昔の映画のようにスタッフロールがオープニングに来ています。これがトータルデザイン的にもかっこよく、エンドロールが無いので「終わり」の一言でブラックアウトする瞬間的な世界の切り替わりが非常にカッコいいです。何か決まりでもあったのでしょうか。詳しい人いたら教えてください。

1 comment:

Anonymous said...

はじめましてこんにちは。
ひょんなことから『イワン・ワシリビッチの転職』の情報を探していたらたどり着きました。内容も言葉もさっぱりわからなかったのでとても参考になりました!ありがとうございます。

因みに、ロシアのほうではどうかわかりませんが、クレジットがオープニング曲に載せて流れるのはおそらく演劇の流れだろう、とどこかで聴いたような気がします。あやふやですいませんが……。
最近では「全員分の名前を入れろ」というハリウッドの制作スタッフ組合あたりからの圧力でクレジットが長くならざるを得ず、テンポ良く本編を観てもらうためにオープニングを省いたりって言うのがあるようですよ。