Saturday 18 October 2008

感情なし


大好きなペトロパブロフスク。狭い町でもミュージシャンが結構多く、ギター背負って歩いてる人をよく見かけます。人口20万人という事を考えると、音楽家率が高いと思います。
しかもこの町では特段やる事がないので、みな練習に打ち込める環境が整っています。なので皆、巧い。楽器が巧いなんて、最高にかっこいい。つまり、最高にかっこいい人達が多い町なのです。

そして狭い町なのでミュージシャン同士は全員友達。僕も一人偶然知り合ったら、あとは一気に知り合いになり、ペトロックシーンに入り込んで楽しい毎日ですが、そんな音楽仲間のベズエモッツィというバンドが初のソロライブを開催。

カリフォルニア最高!と今にも言い出しそうなファンパンクなので、ちょっと僕が好きなタイプの音楽ではないのですが、クオリティも高く技術もあるし、聴いていて爽快感のある音楽なのでライブはとても楽しみでした。1年も住んでいるので薄々感づいてはいたのですが、どうもこのバンドはペトロパブロフスクではかなりの人気のようで、500人は収容できるであろう会場は満杯。チケットは200ルーブル(1000円弱)なので、売り上げ的にも凄いものです。地元のお店や会社にスポンサードされての開催なので、かなり質の良いライブでした。
しかしそれにしてもちょっと異常なまでの人気で、あまりにも皆このバンドが好きなので自分の音楽センスがどうかしているのだと説明を付けてきました。

ベズエモッツィというバンド名は、直訳すると「感情なし」。非常に格好悪くなっています。
しかしこんなにも真剣に音楽に取り組み、素直に成功を目指しているグループには巧くいって欲しいものです。そんな彼らの姿勢が町の人達に伝わり、町の人達にとっても誇りなのでしょう。

Friday 17 October 2008

クラブイベント


大好きなペトロパブロフスク。狭い町でもクラブの数は結構なもので、大小合わせて20件はあると思います。正確には知らないですが。なかなかかっこいいクラブもあり、他に行く場所もないので週末でも平日でもクラブは繁盛しています。日本人が居酒屋に行く感覚でしょうか。週末にはイベントが開催され、テクノ系イベントを開催する団体や、ドラムンベース系、エレクトロ系など、各団体が色々なクラブでイベントを開催し、DJがモテモテという世界各国の都市と変わらない状況です。
しかし音楽のセンスがあまり自分好みではなく、行っても全然面白くないと思っていました。ドラムンベースが最も人気があるようで、こんなにもドラムンベースばかり聴かされるとちょっと頭にきます。ドラムンベースがこんなに人気がある町って他にあるのでしょうか。ドラムンベースファンに会った事もそんなに無かったです。「ドラムンベース最高!」という言葉を聞いたのも初めてだと思います。意外なところで初体験です。あまりにも皆ドラムンベースが好きなので、自分の音楽センスがどうかしているのだろうと説明をつけてきました。

しかしロックファンが多いのも確かで、所謂クラブ系ロックというと説明しやすい、最近のインディーロックのような音楽を中心にしたイベントを新たに開催しようという事で、音楽情報の乏しいこの町で地味に収集している友人達が今までとは違うイベントを開催。ニューオーダーのブルーマンデーで始まりラモーンズの電撃バップで終わるような僕にとってはどう考えてもドラムンベースの数百倍かっこいいセットリストでやってくれました。これがどういう訳か大盛況で、やはり自分の音楽センスがどうかしている訳ではなかったのだと分かりました。あと、ハイブスがもの凄くクラブ受けするという事も分かりました。やはりロックは、かっこいいリフとキャッチーなメロディです。

明らかにインディーロックなど聴かなそうな人達も大盛り上がりで、やはりクラブという非日常的な空間は音楽の持つ力を最大限に発揮させる事ができる場所なのでしょう。

しかしミュージシャンはそう簡単にモテないのに、DJはモテモテでちょっとどうかと思います。モテるためにDJになりましたなどと簡単に言い切ってしまう人がいる理由も分かります。

Sunday 12 October 2008

最下位脱出


6試合を消化して最下位に低迷している関口が所属するルチ・エネルギア。最近ではサポーターの間で関口不要論さえ囁かれはじめていた。というのも、これはフロントの判断であったものの、昨年までのキャプテン、アジンジャールをクリリヤソビエトフへ放出。その穴埋めに関口を加入させ、昨年よりも結果がでていないからだ。昨年までのルチは、時差を武器にホームゲームは快勝するケースが多かったものの、関口加入後は選手の連動性にバラつきが生まれてしまい、選手同士がお互いの良い部分を消し合ってしまう状況になってしまっていた。

そんな中、ブリッチ監督はこの状況をみてフォーメーションをワイドに開いた4−5−1のサイド攻撃重視型から、3-5-2でコンパクトな展開をする方向へ転換。移籍したアジンジャールの双子の弟に右サイドを担当させる。関口はポジションを奪われた形になったものの、紅白戦で意外にもトップ下として機能し、クバンとの試合にトップ下として初先発。憧れのロブソン・ポンテ選手と同じポジションだ。この試合、関口は司令塔的な役割でルチの2トップに絶妙なパスを何本か出す。そして迎えた後半23分、カウンターアタックからFwオスペンスキーがエリア内に切り込みキーパーをポスト際まで詰めさせて、トップ下から走り込んだ関口にパス。ボールはそのままゴールに突き刺さり、関口はプレミアリーグ初のゴールを決めた。
しかしこの試合、終了間際に相手FWカニエンダに決められ、惜しくも1−1のドロー。初ゴールは嬉しいものの、チームが勝利できなかった事は単純に悔しい。なので喜べはしない。

第8節はアムカル・ペルミとの試合。94年設立の若いチームで、プレミアリーグにも04年に昇格したばかりだ。工業都市のペルミは、人口も100万人近くあり、ペルミ州の州都で、シベ鉄も通っている。モスクワからは1400KMも離れているが、大都市だ。
この試合でブリッチ采配は的中する。7試合でノーゴール師匠のスタメン、ティホノベツキーに代わり、紅白戦で結果を出しているストヤノビッチを先発起用。開始13分でオスペンスキー得意のエリア内での切り込みから前節同様横に流すと、並走していたストヤノビッチが落ち着いて決めて早くも先制。この後すぐに追いつかれるものの、エリア内で関口がPKを獲得。兄に代わってキャプテンを勤めるアジンジャールが決めて2−1。その後またも追いつかれる。しかし初スタメンのストヤノビッチはここから連続2発でハットトリック。アムカルを切り離す。その後1点を返されるものの、守備重視の「まずは目の前の1勝」というブリッチ監督は4−3になった時点で守備重視に切り替え、そのまま守りきり、ついに今期初勝利を上げた。

この勝利は選手、監督は勿論の事、負け続ける試合に毎回足を運んでくれているサポーターのお陰だ。

この勝利で最下位を脱出。チームの方向性も見えて来た。

Thursday 9 October 2008

名前

ブログの名前をダサくしてみました。

射殺


10月7日は世界各地で未だにフォロワーが後を絶たないジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤ女氏の命日です。
ロシアの全国ネットのニュース番組では、献花台に集まる人達の様子を伝えていました。何者かによって暗殺されたノーバヤガゼータのジャーナリスト、ポリトコフスカヤの命日に、沢山の人が集まりました。という形で報道されていました。

911テロに関しての映画を鑑賞する機会が先日あり、それに関しては他の国同様関心が高く、GWブッシュは悪いだとか、これは仕組まれていた話だとか、まあ日本などの先進国の若者と同じような意見を聞きました。
ロシアは実際にテロが発生している国なので、テロ/政治について考える若者が多いのは事実です。その考えには賛成できない事が多いのですが、一人一人の意識が日本の若者と比べたら高いと思います。
20歳前後の若者がビールを飲みながら政治の話をするなんていう光景、日本でも勿論見かけますが、やはり少ないと思います。東京で政治の話などを飲み会の席で始めると、「そんな難しい事わかんない」などと秒殺されてしまう事が多いのではないでしょうか。
ロシアのようにこれだけよく政治や社会の話をするという事は、それだけ自分の知識に自身があるという事だと思います。
しかしその意見が多岐にわたっていないという印象も強く受けます。

チェチェンとロシアは大統領が握手してから武器を捨て、グロズヌイにはロシアの資本が入り平和と同時に再開発が始まり、人々は新しいロシアの政治と新しいチェチェンの政治のお陰で昔のような幸せを取り戻した。という内容の報道が最近ありましたが、おそらくこれはそのまま国民の考えになるでしょう。

これだけ大きな国で、国民の政治に対する関心が高いのだから、意見の広がるような報道/政治を目指してほしいものです。

もう2年も経っているので当然かもしれませんが、ポリトコフスカヤさんに関する報道は、「一応やりました」というふうに僕には写りました。
TVや写真でみる献花台の前に集まった人達の数をみると、この問題にk対する意識の高い人が多いのも事実です。
ここから話を広げて行かなければ、意見を失ってしまった他の先進国と同様になってしまいます。
彼女の死は、ロシアの社会にとってそれだけ大きな意味を持っていたはずです。

Monday 6 October 2008

登山


カムチャツカの売りは、手つかずの大自然です。それ以外にはビールがおいしいくらいしか売りはないのですが、僕のような生活をしていると手つかずの自然に近づく機会など殆どありません。今年ももう10月に入り、町から見える山の頂上は雪に覆われ始めています。つまり、登山シーズンはもう終わりを迎えようとしている訳で、ああ、今年も山には近づかなかったなあとここ数日考えていたところを友人に誘われて初登山に行ってきました。
しかし山頂が雪に覆われている山が殆どのはずなので、注意事項を確認したところ、

1:寒くはない
2:雪もない
3:標高も低い
4:1時間弱
5:山頂にはカルデラ湖
6:何も問題ない

という内容だったので、これは行かない手はないですと叫んで行ってきました。

1:山はかなり寒く、麓につく頃には雪がちらつき、気温はマイナスでした。
2:雪が降っているので当然雪が積もっていて、上り続けるとその積雪量は増すばかり。一歩ごとに足首がそのままハマってしまう程の積雪で、その雪は道などない岩の急斜面に積もっている為にたちが悪く、最終的には斜面がかなりキツく、表面が凍結している上に粉雪が積もるものだから滑ってしまってしかたがありませんでした。そこに来て猛吹雪のため、突風が定期的に訪れて山から引きずり落とそうとします。
3:標高は確かに低かったです。
4:雪の影響で2時間以上かかりました。
5:吹雪の為に半径10メートル程度しか視界がなく、写真で見る奇麗な山頂の湖、カルデラ湖は何も見えませんでした。
6:もの凄く危険な登山でした

というのは飽くまで僕の感想なのですが、やはりこの地で育って来た若者にとっては何も問題はない事だったようで、僕には視界もなく、ただ吹雪の中、急斜面を苦労して上がっているだけにしか思えなかったのですが、カムチャツカの人にとってはこれが「楽しい」事だそうです。楽しい楽しい言いながら皆登っていました。
「これこそエクストリームだ」との事です。

山頂に到達しても何も見えないので達成感も何もなかったのですが(写真1)、育った環境によって楽しみ方も違うものだなあと、新たなサブカルチャーを発見できた事が僕に取っては一番の収穫でした。