Saturday 21 November 2009

電子レンジ


2年間迷いながらも中々手を出せなかった電子レンジをついに購入。
地元で頑張っているドルージュバ(友情)という大型電気店で2400ルーブルという友情価格で購入しました。今まではあまり欲しいと思った事はなかったのですが、今年はどうもこういう物が欲しいと思い、つい買ってしまいました。自分がこのような行動に走った背景には、先進国への憧れというものが伺えると思います。実際に電子レンジがあるかないかでは、キッチンの存在感が全く違います。そんな電子レンジにはステッカーが貼ってあり、「人生がもっと簡単になる」と書かれていました。
近代化により簡単になったのは人生だったのかと初めて知りながらも、これは以前YAMAHAが発売した世界一軽いギターの、「軽さは可能性を広げる」というキャッチフレーズに似ているなあと思いました。また、ツガン(ジプシー)の人に集られて5ルーブルあげたときに、「あなたの人生は全て上手く行く」と言われた事にも似ていると思いました。5ルーブルや電子レンジさえあれば人生は上手くいくのです。
そんな電子レンジですが、こちらの家電量販店では2400ルーブルが最安値でした。値段の幅はあるものの、通常のもので5000ルーブル程度も出せばいいものが買えます。販売されている会社は日本のものもありますが数で勝っているのは韓国製の商品です。僕が今回購入した商品はROLSENという韓国のメーカーのものです。
ロシア人に見せたら「これはロシアの会社だ」というのでインターネットで調べてみたところ、韓国/ロシア市場を主にターゲットといている会社のようです。韓国の会社でロシア市場をメインターゲットの一つとし、名前がROLSENと北欧っぽくしているところがニクい演出です。僕もSAMSUNGかROLSENかという選択肢を迫られたら北欧っぽいしという所でこのROLSENを選ぶでしょうし実際に北欧の会社だと思って購入しました。
モスクワ方面ではどのような事情かは知りませんが、カムチャツカでは電化製品は韓国のものが多いようです。TV、冷蔵庫、洗濯機に至まで日本でも馴染みの深いSAMSUNGやHYUNDAI、LGなどが多くの市場を獲得しています。値段も日本製のものに比べて格安で品質もデザインも優れているという位置づけなのでしょう。
そんな家電を取り扱う大型量販店「ドルージュバ(友情)」が半年程前にカムチャツカにも1軒できました。ヤマダ電機ぐらい大きく中に入るとこれはもうカムチャツカではないような錯覚に陥るほど立派なもので、こういったお店が一軒一軒できていく事により町は発展していくのでしょう。
大型ショッピングセンターといい家電量販店といい、僕が来た時にはなかった近代的な店が多く作られていく事で消費活動も盛んになっていくようですが、雇用も給料も拡大していって欲しいものです。
もしカムチャツカが自治州や共和国だったら、町はもっと発展する事だろうと思います。
こういう町の場合、市場原理主義に上手く乗っかる事ができればきっとそれは町の発展に繋がるのでしょう。

Tuesday 17 November 2009

アルコール


日本の生活では交際費が非常に高く付きますが、カムチャツカではあまり高くありません。第一に第三次産業が殆ど発達していないという点が上げられます。友人と面会しようと言っても、どこかのカフェで会おうにも行きたくなるようなカフェが少なく、行っても大した事が無い訳でしたがって家で飲む場合が多くなります。
その時にビアが安いというのは全く持って心強い限りであり、このドラフトビア量り売りシステムは本当に驚愕のシステムです。
町の至る所にあるキオスクスタイルのビア屋さんでおばさんにペットボトルを渡してそこにビアをサーバーから注いでもらいます。カムチャツカという名前のこのビアの値段は1.5リットルで90ルーブル(約300円)です。新鮮で飲みやすく、ガスも入っていないために非常にまろやかで喉越しもかなり良いです。4%のライトなアルコール度数は、もはやビアでは無く別の新しい種類の飲み物であるかのような錯覚を覚えさせる程の爽やかさです。
カムチャツカでは全ての水道から出る水がそのまま飲めます。水の味もとても美味しいので、ビアが美味しいのも納得できます。
「カムチャツカ」がペトロパブロフスクを代表するビアであるのに対し、隣町エリゾボも半年程前から新しいビアを販売しています。「ババロスコエ」という名前で、バイエルンという意味です。なぜカムチャツカでバイエルンなのかとも思いますが、こちらはピルスナースタイルのやはり飲み口爽やかなビアで、2年間1位の座をキープし続けたカムチャツカの地位を揺るがす存在です。こちらも値段は1.5リットルで90ルーブルです。
1.5リットルで300円という事は1000円もあれば4.5リットルも飲めてしまうという事になります。
しかしここで問題になってくるのが、ビア以外のアルコール飲料です。ビア以外のチョイスとしては、ヴォトカ、ワイン、コニャック、シャンパンが一般的です。
ヴォトカはこれは恐らく全てのアルコール飲料の中でも一番選択肢が広いと思われます。安い物で0.5リットル70ルーブルからあります。これは勿論大変酷い内容のヴォトカで、もはや飲み物ではありません。一般的には0.5瓶を150ルーブル程度で買うとまあ悪いヴォトカではないという認識のようで、勿論高いものになると400ルーブルぐらいのもあります。が、正直違いがあまりわかりませんしそもそもヴォトカは理解不能な飲み物です。ヴォトカの位置づけですがこれはどうも若い人達の間ではそんなに市民権を獲得しているようには見えません。アルコール中毒者や中年以上の男女に親しまれているように見受けます。勿論パーティや何かでヴォトカを飲もうという習慣は若者の間でも浸透していて、これはやはりロシア文化の一つなのであろうと思います。ワインは輸入もの、国産ものが多く存在しています。輸入ものは通常の0.75ボトルで値段に差があるものの、日本で安く販売されているようなスペイン産、チリ産のものなどは500ルーブル以上はします。比して国産ワインというものがあり、これはコーカサス地方で作られているものが多いようです。僕はよくクバンのワインを買いますが、これは1リットルで150ルーブルで、小さなお店でもよく売っている安いワインの代名詞的存在で、日本で言うところの「うれしいワイン」のような位置づけでしょうが味は悪くありません。
コニャックはロシアに来るまでは正直あまり飲んだ事の無い飲み物でした。VSOPなどのブランデー類と同類に日本の市場では扱われているようで、フランス産のものをブランデー、ロシア(関係の国)産のものをコニャックというそうです。このコニャックも40%強のアルコール度数を誇るものの、「味がある」という点においてヴォトカとは大きく異なります。値段もヴォトカの2倍以上はします。このコニャックがかなり浸透している印象で、ヴォトカなどを毛嫌いする人間にも好評で、酒自体あまり好きではない女性でも、コニャックなら飲めるなどと言わせてしまう程に魅力的なようです。
女性にはシャンパンが人気です。日本ではあまり普段からシャンパンを飲むという事は少ないと思いますが、ここでは日本でビアが嫌いな人がカクテルを頼むという程度にシャンパンが飲まれています。安いもので1リットルのボトルが150ルーブルからあり、値段も安いので手を出しやすくなっています。
さてこれらが一般的なアルコールのチョイスであり、つまりカクテルというものがあまり人気がありません。理由は簡単でリキュール関係が恐ろしく高額だからです。これはもはや恐怖です。
まず1リットルのJ・ダニエル。これが2200ルーブル(およそ6600円)もします。日本では1580円程度のものです。またユーティリティ系ジンとして知られるビフィーター、日本のやまやなどでは1280円程度で販売されている1リットル瓶ですが、これも1800ルーブル(5400円)もします。女性に人気のベイリーズも同様、リットル2000ルーブルを超えます。こうも高くなってしまってはこれらの酒類を飲む意味というものが変わって来てしまいます。
このような値段事情が関係してビア・ヴォトカがやはり一番人気な飲み物となっています。高いものに手を出さなくても美味しいものがあるというのであれば、当然そちらに目がいく訳でそうやって行けば交際費も必然的に安く納まっていきます。
時々カクテル関係が飲みたくなるものの、トータル的にはカムチャツカの酒事情はかなり気に入っています。
一番美味しいものが一番安いという環境は非常に魅力的ですね。

写真はパッケージされて売られているカムチャツカ。0.6リットルで100円程度。

Monday 16 November 2009

タラバガニ


先日カムチャツカに帰国すると町最大規模の市場が近代的な建物に変化していました。なので早速中を覗いてみると売っている物は以前と変わらない様子でした。
この近代的な建物ですが、僕がここに赴任してきた2年半前の段階で既に建設が開始されていました。建物と言っても2階建ての小規模なものなのですが、工事が一向に進んでいませんでした。しかし工事がストップされていたという訳ではないようで、いつ見ても数人の作業員がタバコを吸っていたりチャイを飲んでいたりしていたので工事自体は進行していたのでしょう。少なくとも2年半の間は膠着状態が続き、この夏に堂々完成したという事です。
その近代化した市場の中を友人1名と一緒に歩いていると、その男が突然「良い事考えた」と言い、何かと思ったら寿司を作ろうという事で、僕にとっては全然良い事では無かったのですが同意すると、具材にという事でその男はタラバガニを購入。1kg購入で1500ルーブルでした。日本円にしておよそ4500円。1kgも入って4500円と考えれば安いのでしょうが、日本の感覚で言ってもあまり安い買い物ではないのにカムチャツカの給料と比してこの値段は少し気が引けます。それにそもそも1kgも同じものを食べたくないです。因に昨年度のカムチャツカの平均月収は15000ルーブルだそうなので、その10分の1を支払わないとタラバガニは食べられないという風にも読み取れます。
タラバガニは正にカムチャツカの名物で、日本に輸入されているものの多くもカムチャツカ産だそうです。ロシア語名はカムチャツキー・クラブだそうで、それが原因で英語でもカムチャツカ・クラブだと信じている人が多いのも事実です。
このタラバガニですが、日本での販売価格に比べると約3分の1程度という事ですが、運送料等を差し引くとこれは対外卸売り価格と殆ど同じだそうで、地元だからと言って安く売るわけにはいかないという状況のようです。
カムチャツカでは漁に関するライセンスが厳しく、自分に与えられたライセンス以外の魚介類を採ってしまうと密漁という事になってしまいます。頻繁におこるケースとして、鮭の漁のみを行って良いライセンスのものが、網の中にタラバガニが掛かってしまった場合にはこのタラバガニを捨てなければいけないという事です。オホーツク海周辺ではこのような事が頻繁に起こるらしく、1トンを超えるタラバガニが間違って引っかかってしまうという事もあるそうです。そしてその際には勿論廃棄をしなければいけないのですが、海の中に捨てにいく事のできる量ではないのでこの1tのタラバガニを浜辺に放置して帰っていく漁者達も少なくはないようです。
実際に写真でその様子を見てみると中々気持ちの良いものではなく、ライセンスという都合でものが無駄になるのという状況に関しては環境活動家もジャーナリストも大して問題視しないという状況も興味深いと思います。
ライセンスがない場合は1tのカニをゴミのように扱い、ライセンスがある場合はこれが大金になるという訳で、これに至ってカニの存在意義が何だか哀れでしかしそれはカニだけの話ではないだろうしそういう風に社会に扱われる人間というのもこれは多いのだろうなあと考えますね!