Friday 14 March 2008

プレミアリーグ開幕


本日よりプレミアリーグが開幕します。Jリーグと違い、対戦カードは抽選で決められます。
今年もモスクワの4チームとゼニトが優勝を争い、地方のチームにはチャンスがないようですが、今シーズンの開幕カードはソビエトフVSテレクFCという組み合わせです。テレクFCは今シーズンよりプレミアに昇格しました。

このチームの本拠地はグロズヌイ。チェチェン共和国です。

チェチェン共和国についてはロシア以外では多数の情報が入手可能であり、昨年日本で大流行りしたリトビネンコ暗殺事件に直接係って来る内容なので、その辺は大富亮さんの「チェチェン総合情報」というサイトを参照してください。
http://chechennews.org/index.htm

歴史を遡ればきりがないのですが、特にここ20年近くはロシア政府から酷い制裁を受け続けてきたチェチェン共和国の首都グロズヌイに本拠地を置くチームであり、その経済/軍事制裁の内容を考えると「よくプレミアに上がった」と泣きそうになります。
FCバルセロナVSレアルマドリッドはフットボールを越えた民族の誇りを懸けた試合であるというのは有名な話ですが、もしかしたら思いはそれ以上のものかもしれません。

テレクにとっては全試合が敵国との戦いです。交戦中の国のチームと毎週1回サッカーの試合をやるようなものです。
サポーターにとっても、人種差別を受け続けて来た中で初めて平等に戦える場所が整ったという事になります。スタジアムでは思う存分自分達を主張して欲しいと思います。
2万人収容の新スタジアムも建設したそうですが、ユニフォームを見る限り胸スポンサーがありません。

テレクにはチェチェン人だけでなく、ロシア人もプレイヤーとして在籍しています。彼等にもまたサッカー選手としてだけではない任務が課せられていることになってしまいます。逆に言うと、彼等にはチェチェン人に対するこの無条件差別を止めさせる力があるという事です。彼等が良いプレーを全国に向けて見せつける事で、ロシアの人達の考えを変える事ができます。
プレミアリーグ最東端のウラジオストクとの時差は9時間、距離にして9000キロもあり、移動にかかる経費も含めて大変な事になると思いますが、まずはプレミア残留を目指して頑張って欲しいものです。

グロズヌイのチームがプレミアリーグに残留しつづけるという事には大きな意味があると思います。


そして先程終了した試合結果は3−0でテレクの完敗でしたが、満員となったスタジアムやチケット争奪戦の様子を映像で見ているとその意味を感じます。

No comments: