Friday 9 May 2008

戦争に勝つ


戦勝記念日というのはこれは日本にない習慣で、どんなものか興味がありました。
5月9日は第二次大戦でドイツに勝利し、ソビエト連邦にとっての大戦終結を意味するという解釈のようです。日本の終戦記念日に値する祝日です。

大掛かりなパレードがロシア連邦全土で行われました。昨日首相に就任したばかりのプーチン様の演説なども勿論ありました。

ここカムチャツカでも(比較的)大掛かりなイベントが行われ、戦時中の兵器を展示して子供達は大喜びで戦車に登ったり一緒に写真を撮ったりしていました。

天気もとても良かったので、海と戦車を見ながら何組のも団体が外でブロックパーティをしていました。戦争に勝った日なので酒がうまいとの事です。
たしかに、浦和レッズが勝った日の酒はおいしいので同じなのでしょうか。

僕は外国人なので、人々は皆、今日はどんな記念日なのかを丁寧に教えてくれます。皆ロシアという強い国の国民である事を誇りに思っているようでした。

テレビでは多元中継でロシア連邦各地の様子が流れています。コンサートや首相の演説、戦車やミサイルなどの最新兵器を並べたパレード。

テレビ中継の合間には戦争の歴史を挿入するカットもあり、如何に大変な思いをして勝利を勝ち取ったのかを国民は再認識しています。
困難を乗り越えての戦勝というものはその後何十年も語られて然るべきものです。

戦勝記念日の2日前には丁度大統領の交代及び新首相の誕生記念式典がかなり派手に行われていました。大好きなカムチャツカビールを飲みながらテレビ中継で見ていましたが、時差の関係でこちらでは夜の7時からの中継というかなりいい時間帯でした。テレビカメラもかなり凝った撮影で、何台ものカメラを使い、空撮、クレーン、CGなどを利用して何だかハリウッド映画を見ているような気分になりました。

新しい大統領の誕生を国民は祝い、そしてそれ以上に、経済成長など、数多くの功績を残して来たプーチン大統領が退任するものの、首相として影響力を持ち続ける事を国民は祝っていました。

数時間にも及ぶ大規模な就任式の直後の戦勝記念日で、国民は「愛国心」というものを再認識します。ロシア連邦自体の歴史は20年に満たないものの、ソビエト連邦も含むロシア人の歴史は長く、その民族としての誇りは忘れてはならない物です。

その愛国心の下に強敵と戦い、たくさんの犠牲の下に勝利した大切な日なのです。

自分自身がこのような所謂戦勝国の終戦記念日というものを体験する機会がなかったので、他の戦勝国の記念式典がどのようなものかはわかりませんが、少なくとも5月9日にロシア全土で行われた物からは、平和というものを感じませんでした。

終戦記念日は同じ過ちを繰り返さないため、もう一度当時の過ちを振り返るものだと解釈しています。
そこには戦勝国も敗戦国もないはずです。戦争に勝ったか負けたかは無意味な結果であって、内容は殆ど同じはずです。ならば、戦勝国の役割とは何なのでしょうか。

大戦終結から60年以上が経過し、日本も含めた各国は戦争の虚しさや平和の意味を忘れ始めているように見えます。

勇敢に戦って亡くなった兵士の奥さんというお婆さんが英雄としてインタビューされていました。その兵士は何の為に戦い、亡くなったのでしょうか。ロシアの強さを世界に知らしめる為では無いはずです。

大規模なものも小規模なものも、戦争は戦争であり、終戦記念日といってもかなりの数の国で今でも戦争が行われています。

戦争が世界から無くなるという事はやはりないのだろうと思いました。

写真はレーニン先生に向かって叫ぶ女子と抱き合うカップル。ビールを飲むオジさん。

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